あなたの会社の課題はなんですか?
そんなアンケートの回答の中で、この数年圧倒的に増えている内容が人材採用に関するものです。
・求人広告を出しているけれど、全く応募者が集まらない
・せっかく採用しても長く続かず、人が定着しない
今、日本では人手不足がますます深刻化しています。特に、大手企業のような資金力や影響力を持たない中小企業にとっては、企業の存続に直結する大きな課題です。
しかし、そんな現状の中でも求める人材を確保することに成功している、従業員100名以下の中小企業も存在しています。
人材確保に成功している企業と、うまくいかない企業、一体どんな違いがあるのでしょうか。
成功している企業は、一体どのようにして人を採用しているのでしょうか。
今回ご紹介する本は、人材採用の問題に対して中小企業がどのように戦っていくべきか、1つの方法論を示してくれています。
著者は戦略コンサルタントの佐藤元相(さとう・もとし)さん。佐藤さんは、ランチェスター法則を製造業に展開し、中小企業のそれぞれの強みを生かした一位づくりを指導しています。
ランチェスター法則は「弱者の戦略」とも言われますが、このランチェスター法則における8大要素は、経営の原理原則であり、そしてこのうち3つの要素を「採用」に特化して考え応用することで、中小企業の経営者が今最も悩んでいる人材採用の問題に対して成果を出すことができると言います。
本書では、ランチェスター法則を基にして、中小企業が人材確保の競争に勝っていくための考え方と戦略の作り方について、具体例を交えながら平易な言葉でわかりやすく解説されています。
少し内容を見てみましょう。
小さな会社に求められるのは、時代を先取りした「働きやすさ改革」です。
2019年卒業の学生に、就職先の決め手になった項目を調査すると、「自らの成長が期待できる」が47%と、年収や企業規模を上回ったと言います。
離職率のダントツトップは「人間関係」なのです。
「募集」という発想から「選ばれる」という視点で採用を見直してみると、新たな発見の機会をいくつも掴むことになるでしょう。
どこの会社を選ぶかは、働く側が100%の決定権を持っているのです。
何度も言いますが、経営の絶対原則は「顧客中心」です。顧客視点でものごとを考え、取り組まなければなりません。
そんな中、人材採用に成功している中小企業があるのです。人材を確保できている企業と、確保できていない企業がある。さて、その違いは何なのでしょうか?
答えは、「人材確保のためのノウハウ、手段がある会社」です。つまり、自社の規模や業態にあった独自の人材確保の仕組みと、効果的な取り組みを持っている会社が成功しています。
現状を打破するのには、戦略原則が何より大事です。人材採用といえども、戦略的な取り組みが求められる時代になっているのです。
ランチェスター法則とは
ランチェスター法則とは、もともとはイギリスの自動車会社を経営していたフレデリック・ランチェスター氏が考案した戦争における法則です。戦闘における力関係はどのようにして決まるのかについての法則が、のちに競争の法則となりました。
競争が発生するものに対してなら、大概のものに応用することができる万能戦略とも言われています。
8大要素と人材採用で活かせる3つの分野
ランチェスター法則における8大要素は次のような内容です。
1:商品戦略
2:エリア戦略
3:業界・客層戦略
4:営業戦略
5:顧客維持戦略
6:組織戦略
7:資金戦略
8:仕事時間戦略
このうちの1から3の分野において、優位性を高めることが人材採用において重要な課題となります。
元は「顧客作り」を意図した経営戦略ですが、「顧客作り」を「人材採用」と置き換えて考えます。
1:来てほしい人材は、どんな能力を持っている人か?
2:来てほしい人材を、どこから獲得するのか?
3:来てほしい人材は、どんな人か?
さて、あなたの人材採用戦略において、これらの内容は明文化されているでしょうか?
弱者の戦略とは
中小企業には、潤沢な資金力で高賃金や高待遇を実現できる大企業(強者)と同じ戦い方はできません。
中小企業には中小企業の戦い方を考える必要があります。
そこで、次の2つが核となります。
差別化戦略
対象となる物事を細かく分けて自社の勝てる領域を見つけ出し、そこに資源を集中する
局地戦を制する
細分化した対象でトップを目指すが、対象となる領域は広げずに狭く限定して、その中で優位に活動を進めること
弱者の戦略とは、すなわち差別化戦略を持って局地戦に持ち込むことと言えます。
戦略を持たなければ人材採用の競争には勝てない
本書を読みながら、次のようなことを自問自答しました。
人材採用において戦略と呼べる内容を持てているだろうか?
これまでの採用者から、なぜ当社が選ばれたのだろうか?
人材を採用するときに、独自の採用基準があるだろうか?
突き詰めて考えると、採用プロセスの改善すべきポイントが色々と浮かび上がって来ました。そもそも、「どんな人に来てほしいか」というところから詰めが甘かった気がします。募集要項で「大卒以上、実務経験3年以上」などを書いたりしますが、それだけが本当に「入社してほしい人に求めること」なのかというと、全然内容が足りていません。
もっと顧客視点(採用したい人材の視点)で考えなければならないと痛感させられました。
また、小さい会社に求められるのは「働きやすさ」改革である、という一節も心に残りました。世間一般でいう「働き方改革」は、ともすれば「働く時間」にクローズアップされがちですが、本来求めるべきは「働きやすさ」のはず。働く側にとって、どういう職場環境が働きやすい環境なのかを経営する側がもっと真剣にならなければ、と思いを新たにしました。
もし人材採用で悩みを持たれているなら、きっと解決へのヒントが本書に隠されています。
ぜひ、チェックしてみてください。
以上です。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。
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