「ZERO TO ONE」という本をご存知でしょうか。
2015年ビジネス書大賞を受賞しており、藤原和博さんが「これだけは読んでほしい」と思う50冊の中にも入っている名著です。
この本の著者はピーター・ティールという方です。
アメリカの起業家集団の神様とも呼ばれ、ビジネス界においては大変な有名人です。
この本の帯に書かれた内容からも、いかに大物かが伺えます。
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Risk Takerの書いた本なら絶対読むべきだ。それがピーター・ティールのものなら、2度読もう。あるいは念のため、3度読んでもいい。これは名著だ。
<ナシーム・ニコラス・タレブ/ブラックスワン著者>
ピーター・ティールは画期的な成功を収めた企業をいくつも築き上げてきた。ゼロ・トゥ・ワンにはそのやり方が書かれている。
<イーロン・マスク/テスラモーターズCEO>
世の中にどうやって価値を作り出していくか、本書はこれまでと全く違う斬新なアイデアの数々をもたらしてくれる。
<マーク・ザッカーバーグ/Facebook CEO>
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この様な錚々たる方々を唸らせる「ZERO TO ONE」、いったい何が書かれているのでしょう。
冒頭にこの様な一節がありました。
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この本は、これまでにないビジネスモデルを成功させるために自らに問うこと、答えるべきことを提示するものだ。
ここに書いたことはマニュアルでもなければ、知識の羅列でもない。
考える訓練だ。
従来の考え方を疑い、ビジネスをゼロから考え直そう。
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この意味について、探っていきたいと思います。
ゼロから1を生み出すことの意味
著者の言う「ゼロから1を創る」とは、未来を創るということと同義です。
今までにあるやり方の延長で繰り返したり、成功例のコピーモデルを作ること(1からnにする)こととは、全く異質ものとあります。
未来とは何か
ここでいう未来とは、単純に時間軸の延長にある先のことではなく、「今の姿とは違う姿の世界になっている」ということを指しています。
もし今から100年間の間社会が何も変わらなければ、未来がくるのは100年以上先である、ということになります。
世界の姿を変えてしまうほどのイノベーションが、未来を作り出す、それが「ゼロから1を創る」ということなのです。
未来を作り出すために必要な視点とは
著者がビジネスをスタートさせる時の原点とも言える考え方があります。
「賛成する人がほとんどいない、大切な真実は何だろうか?」
ちょっと意味を取りにくいかもしれませんね。
世界中の人が、今は「真実ではない」と思っているが、実は「真実である」という隠れた真実とは何だろうか、ということを問うています。
もっと端的にいうと、間違った常識を見つけ出す、と言えそうです。
この視点の先にゼロから1を生み出すイノベーションが生まれます。
未来とは単なる時間軸の流れではなく、あり方の変化を指しています。
ゼロから1を生み出すための視点は、現在を起点にしているだけでは得られません。
視点が未来に近づくほどに、上の問いかけに対する答えが生まれてくる様になります。
隠れた真実を探すこと、これが、著者の考えるビジネスのスタート地点です。
隠れた真実への探究心を阻害するもの
著者は、イノベーションを生み出すための探究心を摘み取ってしまう4つの社会トレンドがあると言います。
漸進主義:
少しずつ、コツコツやることが正しいと信じて疑わないこと
リスク回避:
間違えたくないがために、間違わない選択肢だけを選ぼうとすること
現状への満足:
偏った視点から「自分はもう安泰だ」と勘違いすること
フラット化:
グローバリゼーションが進んだ社会において、革新的なものは自分より賢い人がすでに見つけてしまっている、と諦めてしまうこと
総合的に見ると「複眼視点を持つこと」と言えそうです。
今、ほとんどの人が「これが当たり前だ」と思っていることを疑い、別の角度から物事を見る目を養うことが求められています。
これについては、藤原和博さんが提唱している「これからの成熟社会においては情報処理能力ではなく、情報編集能力が必要とされる」という内容とリンクするところがあると感じました。
単なる今の延長ではない未来を創るには、やはり「当たり前を疑う」視点が必要ということですね。
今、私たちができること
著者は、未来は自然に起きるわけではないと言います。
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未来は勝手に良くなったりはしない、つまり、今、私たちがそれを創っていかなければならないということ。
宇宙規模のシンギュラリティを達成するかどうかよりも、私たちが目の前にあるであろうチャンスを掴み、仕事と人生において新しいことを行うかどうかの方がよっぽど大切だ、
今私たちにできることは、新しいものを生み出す一度限りの方法を見つけ、ただ単にこれまでと違う未来ではなく、より良い未来を創ること(つまり、ゼロから1を生み出すこと)だ。そのための第一歩は、自分の頭で考えることだ。
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ここで、冒頭の一節につながります。
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この本は、これまでにないビジネスモデルを成功させるために自らに問うこと、答えるべきことを提示するものだ。
ここに書いたことはマニュアルでもなければ、知識の羅列でもない。
考える訓練だ。
従来の考え方を疑い、ビジネスをゼロから考え直そう。
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世界規模で考えるなんて、スケールが大きすぎると感じるかもしれません。
しかし、本書でのビジネスを「自分自身の人生」と読み替えるとどうでしょうか。
自分の人生においてより良い未来を創るため、常識を疑い、自分の頭で考えることから始めよう。
他の多くの著者が述べられていることにつながっていくものがあると感じるのは、きっと気のせいではありません。
だからこそ、世界中の人の心を掴み、ベストセラーとなったのだと思います。
隠れた道の先にある未来へ
本の中で、指輪物語の一節が紹介されていました。
とても印象的だったので、最後に引用します。
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角を曲がれば、待ってるだろうか、
新しい道が、秘密の道が。
今日はこの道、素通りしても
明日またこの道、来るかもしれぬ。
そして隠れた小道を通り、
月か太陽へ、ゆくかもしれぬ。
トールキン著 「指輪物語」 瀬田貞二・田中明子/訳
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以上です。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。
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