心を動かす仕事をしよう -だから、また行きたくなる。-

読書でアウトプット

 

売れている商品と、売れていない商品。
繁盛しているお店と、そうでないお店。
人気があり成長する会社と、そうでない会社。

世の中には、一見してそんなに大きな違いがないように見えるのに、多くの人から選ばれ、支持されるものと、そうでないものがありますね。

この違いは、一体どこから来るのでしょうか。人は、何かを選ぼうとするとき、一体何を元にして選んでいるのでしょうか。

今回紹介する本は、その秘密を知ることができる本です。

どのような内容か、早速見て行きましょう。

 

本の概要

商品、サービス、お店など、これらがお客様から「選ばれる」ものと「選ばれない」ものとでは何が違うのか。何があれば「選ばれる」のか。そのために必要な二つの考え方について、具体的に実例をあげながら解説しています。また巻末には、この本の中で書かれていることを実践するためのプログラムも付いています。

どんなお店や会社にも共通する「リピート」や「紹介」を生み出す秘訣について、実例を交えてわかりやすく学ぶことができる本です。

著者は、川田修さん。プルデンシャル生命保険株式会社のトップ営業マンで、保険のことだけでなく顧客満足や営業をテーマに企業からの依頼を受けて講演、研修を行ったり、本書の他にも本を出版されたりと多彩な活動をされています。

 

何をすれば人から選ばれるのか?

最初から答えをいいますと、人が何かを選んだり、アクションを起こすのは

「心を動かされる」から

です。

そして、選ばれるサービス、商品、お店などに共通していることは、共通点があります。

それは、「お客様の心を動かす何かがある」ということ。

人は感動すると(たとえそれがほんの小さいものだったとしても!)、それを別な誰かに伝えたくなる生き物です。そしてこの「感動する」という体験が、「自分が買う」のと、「誰かに紹介する」の間にあるものなのです。

自分自身を振り返って見ても、誰かに何かを紹介したいと思う時というのは、普段は感じない「ちょっとした感動」があった時です。何気ない日常の中で、「えっ?」と思うようなことがあると、ついつい人に言いたくなりますよね。

では、その「ちょっとした感動」を生み出すために、一体何をすればいいのでしょうか。

 

人の心を少しだけ動かすための「二つの考え方」

人の心を動かすものには、個々の感覚に依存するものだけではなく、大多数の人に共通する法則性があると著者は言います。その法則を理解すれば、実行することはそれほど難しいものではなくなります。

その法則は次の二つです。

・「レベル10」、「レベル11」という考え方

・「先味・中味・後味」という考え方

それぞれ、もう少し具体的に見て行きます。

 

レベル10とレベル11

人の頭の中には、意識がある無いに関わらず「普通の基準」というものがあります。それがレベル10です。つまりレベル10とは、その製品やサービス、場面などに対して大多数の人が「これが普通だな」と感じる内容のものです。

そしてその「普通だな」という水準をほんの少しだけ上回るものが、レベル11です。

人は、自分が感じている「これが普通」という基準を上回ることに遭遇すると、それを敏感に察知します。自分が予想や期待していた以上のこと(レベル11)を経験すると、人は心を動かされるのです。

例で考えてみましょう。

公園の屋台などのような場面を想像してみます。そのお店では、白い普通の紙コップで飲み物を入れて提供してくれる、店員さんも一人だけのほんの小さな屋台のお店です。座って飲むためのベンチなどもありません。そこでオレンジジュースを買ったとしましょう。

さて、注文して出て来たオレンジジュースを見ると、本物のオレンジをスライスしたものが紙コップの淵に刺さって出て来ました。ちょっといい場所でオレンジジュースを注文したらついてくるようなものです。

こんな場面に遭遇したら、どう思うでしょう。

私なんかだと、ちょっと嬉しくて「みてみて、このジュース、いっちょまえにオレンジついてる!」と言ってしまいそうです。

私の中では、そのお店のサービスに対しては「紙コップにオレンジジュースがペットボトルから注がれて、そのまま出てくる」という状態がレベル10です。まさか本物のオレンジが付いてくるとは思っていませんので、このスライスされたオレンジは私にとってのレベル11、という訳です。

イメージできそうでしょうか。

 

先味・中味・後味

人が何らかの商品、サービスなどに遭遇する時、3つのステージがあります。そのステージで感じていることが、「先味」「中味」「後味」というものです。

先味:商品やサービスに触れる前に感じるもの

中味:商品やサービスそのものに触れている時に感じているもの

後味:商品の魅力を味わった後に感じるもの

このいずれかのステージでレベル11を感じると、人はそのサービスに対して心を動かされ、好きになったり人に紹介したくなります。全てのステージでレベル11を感じるような場合だと、熱烈なファンになってしまうことでしょう。

こちらも例を考えてみましょう。

自宅の近所で、長らく空き地だったところに新しくレストランができました。それは、以前から雑誌などで「こだわり抜いた食材だけで作られた美味しい料理」と評判になっていたお店で、いつもお客さんでいっぱいの大人気レストランです。

今度、友人と一緒にそのレストランで夕食を食べることになりました。

その時、あなたの気持ちはどうでしょうか。「あれだけ評判が高く、いつも繁盛しているのだからきっと美味しいに違いない。どんな美味しい料理があるかな、楽しみだな」と感じているのでは無いでしょうか。これが、先味です。

そして当日。実際にお店に行くと、店内はとても雰囲気がよく綺麗で、一層気持ちが高まります。料理はコースになっていて、料理が出てくる都度、笑顔が素敵なホールマスターがさっとやって来て、ひとつひとつの料理の食材について優しく丁寧に説明してくれます。そしてその料理の美味しいこと!あなたは、評判の通りだと感じています。これが、中味です。

そして料理も全て終えて、デザートになりました。それまでの料理が思ったよりボリュームがあったので、あなたも友人も、すっかりお腹がいっぱいになってしまってデザートがほとんど食べれませんでした。見た目も綺麗で美味しそうなデザートなのに、残念!次はもっとお腹をすかせて来よう、そう友人と約束しあって会計を済ませた時、先ほどのホールマスターが可愛いリボンで飾られた小さな箱を持って来て、こんなことを言いました。「先ほどのデザート、持って帰って食べてもらえるように、傷みやすいものだけのぞいて包みなおしました。よかったら、お持ち帰りください。明日までだったら、大丈夫です。」その時、あなたの気持ちはどうでしょうか。これが、後味です。

ちょっと極端な例を挙げてみましたが、どういうものかイメージしてもらえたでしょうか。

 

「レベル10」「レベル11」、そして「先味・中味・後味」、どんな仕事であっても、これらを掛け合わせることで人に小さな感動を与え、それが他との大きな差別化へと繋がっていきます。

 

本書を読むことで起こる変化

本書では、上に書いた「レベル10」と「レベル11」、「先味・中味・後味」それぞれについて具体的な写真付きの例がたくさん紹介されており、非常にイメージしやすい内容となっているので、一度読めばそれらが一体どういうことなのかをさらに感覚的に掴むことができるでしょう。

そしてそれらの感覚を持つと、日常生活の中でも「あ、これはレベル11だ!」とすぐに気がつくようになります。ちょっとした違いに気がつくようになるのです。

例として、実際に私が体感したことを少しお話させてください。

ベトナム駐在の期間を終え、いよいよ帰国の日が近づいていた時のことです。

それまで私と一緒に職場で奮闘し、私を支えてくれていた一人の同僚に特別にお礼がしたくて、食事の席を設けました。それは、ホーチミンで一番美味しいお寿司が食べられる場所だと私が個人的に思っているお店で、とても特別な思いのあるお店でした。

お店で楽しく会話しながらお寿司を頂いていたのですが、ある時に板前さんと会話する中で私は同僚のことを次のように紹介しました。

「今日は、彼にどうしてもここのお寿司を食べて欲しかったんです。これまでずっと仕事で私を助けてくれた人だから、そのお礼がしたくて、ぜひここで私の大好きな最高のお寿司をご馳走しかったんですよ。」

すると、そのあとにちょっとした変化が起こりました。

それまでは、板前さんは握ってくれたお寿司を出す時、私→同僚、という順番で出してくれていましたが、その会話の後、同僚→私、と順番が変わったのです。

その時、私は「あぁ、このお店はやっぱり最高のお店だなあ」と感じました。それは、私にとってのレベル11でした。

板前さんは、私の話を聞いて、今日の席では誰がホストで誰がゲストなのかを察知したのです。

正直なところ、私はその瞬間まで料理が出される順番に対し特に意識をしていた訳ではありませんでしたし、自分がホストだというような意識も持っていませんでした。

けれど状況から見れば、私が同僚に対してもてなそうとしている場なので、確かにその場では私がホストであり、同僚はゲストだったのです。私自身も意識を特に持っていなかったけれど、板前さんはそれをちゃんと読み取って、ゲストである同僚をもてなすサポートをしてくれたのです。

それで、その後の料理を出す順番が全て入れ替わったのでした。

同僚は私より10歳ぐらい若いので、最初は板前さんも判断がつかない状況だったから年齢の順に出してくれていた、そんなことも後になって私は気がついたのでした。

レベル10、レベル11という概念が自分の中で定着すると、普段の生活の中でも本当に色々なことを感じます。

それは、全て自分にとって大きな学びのチャンスとなります。

 

自分の仕事の質を高めたい、自分自身の価値を高めたいと願う人にとっては、本書は大きな気づきをもたらしてくれるはずです。

ぜひ、読んでみてください。

 

以上です。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。