座り続けると寿命は縮む?人類の進化と現代病の関連を分析する -サピエンス異変-

読書でアウトプット

 

一日のうち、座って何かをしている時間がどれぐらいか、計算してみたことはあるでしょうか。

現代人は、一日の中でかなり多くの時間を座って過ごしています。

「長時間座ってばかりでは、運動不足になり、人の身体は鈍る」というのは実は誤った認識で、実際には長時間座ることがいくつもの重大な死因と大きな関係がある、座りっぱなしは死を近づけるとしたら、大袈裟だと思われるでしょうか。

 

そもそも人の身体は長時間座って過ごすようにはできていません。そのようなスタイルに身体が進化して馴染むには、まだ時間があまりにも浅すぎるからです。

今回紹介する本は、その点について人類の進化の過程から、なぜ現代病が起きているのかを分析、人の身体に何が起きているのかを指摘している一冊。

現代病にならないために、長く健康でいるために何が必要かと問われたら「毎日、少しずつの運動を続ける」という回答は実にありきたりだと思われるでしょう。

この本を読んだ後にも、その回答が変わることはありません。

でも、なぜ毎日の運動が大切なのか、それをしなければ身体にどういうことが起こるのかを理解することで、毎日の運動の重要性をより深く認識することができているでしょう。

 

本の概要

人類が生み出した文明の速度に人類の進化が追いついていない問題を提起。文明の発展により私たちの食や労働環境、ライフスタイルが急激なスピードで変わることで、人間の体が時代にそぐわなくなり、それが現代病となって人間の体に現れる。

もともと、人の身体とはどのような構造になっているのか。人類の歴史からその経緯を紐解き、どのようにして現代の状況に陥ってしまったのかを指摘する。

著者は英ケント大学の名物教授。環境人文学、英文学が専門ながら、人類史也古典文学、健康、環境問題など幅広い分野を扱い、メディアへの寄稿も多数。

 

どれほどの速さで変化は起きたのか

はるか昔、人は狩りをして居住地を転々としながら生活をする狩猟民族でした。そしてある時期から、住む場所を転々とすることをやめ、土地を耕し、農作物を育てて生活をするようになりました。そしてやがて産業が生まれ、18-19世紀には産業革命が起こり、人の働くスタイルが大きく変わりました。その後、都市の構造が変化し、デジタル革命が起き、現代に至っています。

一体私達は、どれぐらいのスピードで文明を発展させてきたのでしょうか。

 

ここで人類史全体を、午前9時から午後5時の標準的な一日の労働時間で表してみよう。すると、農業革命が起きるのは、午後4時58分だ。4時59分台の終わり近くになっても、小規模な都市すら建設されていない。産業革命?それに気づくにはかなり目が良くなくてはならないだろう。それは4時59分58秒にはじまる。私たちが使っているテクノロジーは、くしゃみをするほどの時間で生まれては消える。

 

人間の一生の時間の長さを物差しにして文明が進歩する時期を見れば、それほど急激には感じないのかもしれません。

しかし、人類の遺伝子が文明に馴染み、人の体が適応するには数千年という時間が必要です。それなのに、次々と新しいテクノロジーが生み出されることで、人々の食や働くスタイル、生活のスタイルは数十年という周期で変わっていきます。

何千年もの間、人はサバンナを放浪して狩りをしていました。その後、何千年もの間、人は地面を耕して生活をしました。その後たった数十年で今のライフスタイルが当たり前になりました。

人類の進化のための時間を考えた時、私たちの体が変化のスピードについていくことができず、苦しんでいる。著者は、そのように指摘をしています。

 

座りっぱなしが死を招く?

 

一日のうちかなりの時間座っている成人は、特に心臓血管疾患で早死にするリスクが高いことが証明されている。

 

もともと、人類は進化の歴史上のほとんど(朝9時から午後4時58分まで)を移動しながら生活していました。食事をする時、休憩する時、人は「しゃがむ」という姿勢を取っていたようです。しゃがむことが休憩というのは、現代においてはいくらかトレーニングをしないとできないことです。

今のスタイルは、椅子に座ることが休憩、と認識されています。

しかし、4時58分までずっと動き続けた人類の体にとっては、椅子に座る姿勢は「身体を休める」ような構造にはなっていないようです。私たちが感じる「休まった」という感覚と、実際の体に起きている状態には、ズレがあるようです。

 

たった数時間、背もたれに体を預けるだけで、いわば冬眠のような状態になる。

 

血流が減って血糖値が下がり、糖尿病や肥満や心臓病のリスクファクターとなる。

 

たとえ一気に運動しても、長時間座っていると、正常な代謝が損なわれかねない

 

運動をするとある程度のメリットはあるが、長時間座っていることによる悪影響を埋めあわせるには不十分である。それはちょうど、定期的にサッカーをしながら、タバコを一日20本吸うようなものだ。

 

長時間座っているのはただ運動していないということだと広く誤解されているが、実際には全く別物である。たとえ運動をしていても、何時間も座っていたら、身体を動かしていないのと同じことになってしまうのだ。

 

 

私達はどうするべきか

 

現代のライフスタイルが人の身体に合っていないのは上述の通りですが、では、一体私達はどうするのが良いのでしょうか。

著者はその点について、14の視点から具体的な提案をしています。ここで1つづつ解説はしませんが、どれも「それは知らなかった!」というような新しいものではないように感じます。

 

可動域はフルに使わなければ失われるし、エネルギーを靭帯や腱にためる能力も利用しなければ失われる

 

つまり、毎日しっかり体全体を使って運動やストレッチを行う、ということです。そのほかにも食べ物についてもできる限り体に良いものを取るようにする、ということもありますが、これも目新しい情報ではないでしょう。

大切なことは、「なぜそうすることが必要なのか」をしっかり理解しておくことだと思いました。

なぜ今の生活では身体にとって良くないのかを正しく認識して、運動やストレッチの意味を正しく理解すれば、それを疎かにすることはないでしょう。

 

 

以上です。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。