私は2013年から7年と4ヶ月の間、海外で仕事をしながら生活をしていました。
期間:2013年4月にホーチミンへ移住、2020年8月末に日本へ本帰国
※期間中の日本一時帰国は基本的に年1回、旧正月時期の1週間程度
居住地:ベトナム ホーチミン市
目的:仕事(所属企業での海外生産拠点立ち上げのため)
勤務地:ロンアン省(ホーチミン市から南西部の方向にある広大な省)
1年のうち日本にいるのは1週間程度なので、ほとんどずっとベトナムにいたことになります。
人間は環境に慣れるようにできているようで、7年も住んでいるとホーチミンの住環境が自分のホームタウンとなっていましたので、日本に本帰国すると改めて色々なところで違和感(カルチャーショック?)を感じていますが、これから日本で生活するにつれてその感覚は薄まっていくのだと予測しています。
忘れずに覚えておきたいと思うことについて、また、帰国してからどんなことをやって行こうと思っているかの備忘録として、残しておきたいと思いました。
日本に戻って感じること
モノの豊かさのこと
帰国してすぐに感じたのは、「日本はなんと物が豊かなんだろう」ということでした。
私はホーチミンに住んでいたので、発展途上国とされるベトナムにおいても居住環境という面では非常に恵まれたところに住んでいたと思います。それでも、日本に戻って最初にコンビニエンスストアに買い物に行った時、そこで売られているものを見てその充実っぷりに圧倒されました。
ホーチミン市でも、2013年当時は少なかったコンビニエンスストアは年々その数が増えてセブンイレブンやミニストップ、ファミリーマートなど日本資本のお店も珍しくは無くなっていました。また、そこで売られているものも決して少ないわけではありません。
日本とベトナムで何が違うかというと、「欲しいものそのものズバリ」をすぐに買い求めることができる清々しさかなと感じています。これは久しく忘れていた感覚でした。
ベトナムで何かを買いたい時、そのものズバリを買い求めるのは意外と苦労することが多いです。例えば整髪料が欲しい時など、「整髪料」というキーワードで買い物をするならそれほどに困ることはないのですが、「このメーカーの、このシリーズの、このグレード」というようなこだわった買い物をしようとすると、たちまちお店をハシゴして探し回ることになりますし、それでも欲しいものズバリを買えず「それに近いもの」か、「多分これが近いだろう」というものを買い求めるケースは珍しくありません。
それで買ったものを実際に使って見て、「えー、全然思ったのと違うわ」ということも往々にしてあります。これはこれで海外生活の一つの醍醐味でもあると私は思っていますが、時と場合によってはそれがストレスとなってしまうこともあります。
この点において、日本は非常に素晴らしいと改めて思います。例えコンビニエンスストアになかったとしても、近くのドラッグストアやスーパーに行けば、大抵の「そのものズバリ」をあっさり買えてしまうのです。ネットで買うなら、アマゾンで注文すれば数日以内には手元に届いています。この清々しさは感動的ですが、それはグローバルスタンダードではない、ということはしっかり覚えておかないといけないなと感じています。
そして、ベトナムで学んだことの一つに、物で満たされなくとも心豊かに暮らすことができる、ということがあります。このことも、合わせて忘れないようにしておきたいと思います。
外国語、そして世界との距離感のこと
日本に戻ってきて、いろいろなところでの自動アナウンスや標識に英語、中国語、韓国語など外国語が以前よりも増えたなあと感じる一方で、やはり日本は世界との距離を感じにくい環境が多いと感じています。
私自身が日本人であり、母国の日本に住んでいるので日本語なり日本人に偏った日常になりやすいのは当然のことだとも思いますが、少し怖いなと思うのは「外国語が使えなくても、何も困らない」と錯覚してしまいそうになることです。
私が住んでいるのが都心部ではなく地方であることも関係していると思いますが、とにかく日本語しか使わずに生活してしまうことに危機感を覚えています。
ただ、日本に住む外国人が以前より増えてきていることも間違いないので、これは本人次第ということだと思います。
ベトナムで国際会計事務所の管理者と話している時、「ほとんどの日本人は必ず打ち合わせの時に通訳を連れてきます。自分から英語を話そうとする人が少ないのはなぜですか?」と質問されたことがありました。
実際の比率の数字はともかくとして、多くのベトナム人やベトナムに住む外国人にとって「日本人は日本語しか話さない人が多い」という印象を持たれているようです。全体傾向として、やはり日本人は「日本語だけでやっていけるなら、それがいい」と思っている人が多いということなのでしょう。
外国人と関わる機会が増えて感じるのは、世界規模で見たときバイリンガルなんて当たり前で、3つ、4つ、中には5つ以上の言葉を話す人も決して珍しくないということです。これは今の私の住環境の中では稀なことなので、自分で気持ちを強く持っていないと流されてしまいそうな気がしています。
私自身、海外との関わりについては今後も積極的に取っていきたいと思っています。そのためにも、外国語でコミュニケーションを取る環境を自分で作っていく必要があるなと感じています。
学ぶことへの姿勢
ベトナムで感じたことの一つに、「自己研鑽を怠ってはいけない」ということがあります。私の周りにいたベトナム人や外国人は、常に何かを学ぼうとしていたように思います。会社の仕事だけしてあとは家でダラダラ過ごす、というような人はあまりいないように感じていました。
もちろん全ての人たちがそうではないと思いますが、趣味のことにせよ、仕事のスキルアップのことにせよ、何かに打ち込んで今よりも多くのことを身に付けようと真剣に取り組んでいる人が多かったように感じています。
ベトナムでいうと何かのスキルを得ることが自分の収入をあげる機会に直結しやすいという側面もありますが、欧米の方にしても、いつも何かに向けて勉強して挑戦をしている姿が強く記憶に残っています。
この緊張感も、忘れずにしっかり自分の中で持っておきたいと感じることです。
今後の自分の活動について
語学のこと
やはり語学は鍛錬が必要です。ベトナムに行く前には中国語を8年ぐらい独学で勉強しており、中国語検定3級の資格を取ったりしていましたが、言葉は使わないとどんどん忘れていってしまうようで、中国語を使って中国にひとり旅をしたことなど今となっては信じられないぐらいです。
どうやら、私の頭脳のメモリーは3つの言語までしか留めておけないようなフシがあるので、ひとまず3言語を自分の言語の軸として持っておこう、日本語以外の言語として、英語とベトナム語を今後も継続しようと考えています。
英語については、これまで完全に我流を貫いていましたが、今後はもう少し真剣に勉強をします。ベトナム人の親しい友人でTOEIC800点のスキルを持った人がいたのですが、英語が母国語の人たちとその友人のコミュニケーションの様子を見ていると日常会話はほぼ問題なさそうに見えたので、ここを一つの目標として考えています。
そのための一つの環境づくりとして、国際唎酒師の資格をとるコースを申し込みました。国際唎酒師とは、唎酒師の外国語版です。私は日本酒が好きなので、もっと本格的に日本酒について知識を深めたいという思いがあったのと、将来的に外国の人に英語で日本酒や日本酒にあった日本料理を提案できたりできるようになりたいので、日本酒と英語の両方を学ぶ上で、良い形で自分を追い込めそうに感じています。目標としては2021年2月のライセンス取得です。
ベトナム語については、かなり気合を入れて日常的に使うことを考えていかなければならないなと思っています。ベトナム人の友人曰く、今の私のベトナム語は60点だそうです。知っている単語に偏りがあるものの、読み・書き・会話は生活に困らないレベルでできるようになったのはベトナムで細々と勉強を続けた成果だと思うので、これは維持していきたい。
ベトナム人で日本語を勉強する人が増えてきているので、ベトナム人向けの日本語教材なんかを作りながら、情報発信してベトナム人とのコミュニケーションをとる環境を維持しょうかと考えているところです。ここは試行錯誤が続いています。
ラオスとのこと
ラオス大学で日本語を学ぶラオス人の大学生を支援する奨学金の取り組みをしています。ベトナムに住んでいるときはラオスはすぐ隣だったので行きやすかったのですが、日本に戻ってしまうと普通に生活していてラオスに行く機会はなかなか無いと思うので、この取り組みは今後も継続していこうと考えています。
いつか、私が支援した奨学金で日本語を学んだラオス人が日本に遊びにきてくれるような日がくれば嬉しいし、私がラオスに遊びに行った時に現地で会える人がいるということも、多少なりと私の人生を豊かなものにしてくれそうな気がしています。
海外株への投資と外貨資産形成のこと
ベトナムにいる期間、日本円以外の通貨で資産を形成する種まきをしておきたいと思い、ベトナムとラオスのそれぞれで株を購入して保有しています。日本で株を買うことなどなかった私がいきなり海外で株を買うというのもなかなかエキサイティングな体験でしたが、株を買って初めて感じることや、発見できたメリットもあったので、これはやっておいてよかったと思います。
これがあると為替を自分に関係があることとして見れるので、良い刺激にもなります。もともと短期売買するつもりはなく、超ロングスパンの宝くじを買うぐらいのつもりで始めたことなので、10年後にどうなっているかを楽しみに今後の株価の様子を眺めて一喜一憂しながら楽しもうと思っています。
「海外で仕事をする」ことについての学びの記録
改めてベトナムで仕事をしてきた日々を振り返ると、いろいろなことがあったものだなという感じが強く残っています。これについては、せっかくの経験なので一過性のものにせず、「今の私が、7年前に今からベトナムに行こうとしている私に向けて伝えておきたいメッセージは何だろうか」というスタンスで、ブログにして残せるようにしようと思っています。
「これから海外で工場を立ち上げたいあなたへ」というような感じで、ブログサイトを起こすことを企んでいます。
スケッチのこと
ひとまず100スケッチという達成をしたところで活動が停滞気味になっていますが、絵には国境を超えて人と人をつなぐ不思議な力があることを知ったので、これは細々とでも続けようと考えています。「これは絵に描きたい!」という気持ちを大切に、今後も少しずつ描いていきます。
世界のすみっこで、世界をちょっぴり感じることができる絵を描いて発信していきたい。そんな思いで、「すみっこ画廊」というブログサイトを開設しようと企んでいます。
ベトナムから戻ってきて、今、こんなことを考えています。
以上です。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。
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