「仕事の基本精神10箇条」のこと

 

ベトナムに工場を設立してから3年ぐらいたった頃、社員の規律に対しての認識が非常に甘く、社員の行動で問題となるものが目立つようになっていた時期がありました。
例えば、次のような内容です。

 

  • 総務の備品棚から手袋やマスクなど消耗品を勝手に持ち出す(本来は総務スタッフに申告が必要)
  • 会社備品のスリッパを無断で借用、総務スタッフから指摘されるまで返さない(返すときも使用して汚いまま返す)
  • 休憩時間の終了チャイムが鳴ってからも、なかなか職場に戻らない(休憩終了チャイムが鳴ってからトイレに行ったりする)

 

組織の人数が増えるにつれて、家族経営的な雰囲気からすこしずつ会社の雰囲気も変わり、そこに合わせて上記のような行動に対しても厳しく対応できるスタッフが少し減ってきていたという背景も重なっていたように思います。

このままでは社内の雰囲気が悪化の一途をたどると思われたため、内部統制を強化するうえで会社から規律に対する方針を出すことにしました。

仕事をする上で一人一人が社会人としてしっかり動いてもらうための指針となるものとして、それまでに私の中で「こういうことが大事だな」と感覚的に持っていたものを改めて調べなおして文字にし、整理して「仕事の基本精神10箇条」として打ち出しました。

私も過去に本で読んだりセミナーなどで見聞きして得てきた内容なので、それぞれ一般的な内容でとりたてて目新しい内容ではないのですが、工場見学や打ち合わせなどで工場に来られたお客様から「これ、写真に撮ってもいいですか」と尋ねられることが意外にも多く、皆さまから良い内容だと思って頂けていたようです。

多くの方に共感して頂けるとやはり嬉しいので、
以下に「仕事の基本精神10箇条」として出した内容をご紹介いたします。

 

 

仕事の基本精神10箇条

1.当たり前のことを当たり前に、やり続けること

挨拶、掃除など出来て当たり前のことを1回やることはやさしいが、それをやり続けることはとても難しい。
出来て当たり前のこと、やって当たり前のことを当たり前の様にやり続けること。

 

2.「おかげさま」の精神

人は自分の力だけでなく、目に見えるものはもちろん、目に見えていないものにも助けられ生かされているという謙虚さを持ち、また目には見えないが影になって支えてくれているものすべてに感謝をする心を持つこと。

 

3.規律を尊ぶことにプライドを持つ

守るべきことを知り、正しい筋道を貫くこと。卑怯なこと、ずるいことはしないこと。正しい方へと向かう姿勢を貫く自分自身にプライドを持つこと。

 

4.創造主義に基づく自己研鑽

プロとして顧客に良いものを提供する為、知恵を絞り、自身の技能を磨くことの努力を惜しまないこと。今できることの範囲内だけでやるのではなく、更なる成長、新しい価値を生み出すために手を伸ばし続ける努力を怠らないこと。

 

5.自立する

自立とは「今やるべきこと」、「これから目指すべきこと」を自分自身で見つけ、その実現のために自ら行動できること。
みんなのために全力で役割を果たせる自分であるために、まずは自分自身が自立できていること。

 

6.可謬(かびゅう)主義

今の状態が必ずしも正しいとは限らない。「絶対できない」、「絶対にこうだ」と決めつけることは視野を狭くする。
既成概念にとらわれず、更に良い方向へと向かうための変化をいつももたらせるよう、柔軟な思考で考えること。

 

7.真摯さ、潔さを持つ

当事者の意識を持ち自分事として受け止める姿勢、事実を事実のままに受け止める心を持つこと。
嫌なことに背を向けずしっかりと向き合い、自分に都合の悪いことを他人や環境のせいにしないこと。

 

8.常に上位者の視点と視野

もし自分が社長だったら、どうするか。もし自分が自分の上司だったら、どう考えるか。いつも自分より上の立場の目線を持って仕事をすることで、自分自身の仕事の幅や視野を広めること。

 

9.ゴールからの逆算

目指すべき目標(ゴール)を持ち、その目標を達成するための計画に基づいて行動すること。
無計画に走るのではなく、動き出す前によく考えて優先順を見定めること。

 

10.丁寧な作業・丁寧なコミュニケーション

仕事に対して、また、人に対して丁寧さをいつも心がけること。
人に対して「伝えるための努力」、「相手の意図を聞きとるための努力」を怠らないこと。

 

 

ちなみに、この方針を出したからと言って上記に上げた問題行動がすぐに無くなった訳ではないのですが、事あるごとにこの内容を引用して指導を続けていく中でこの方針に共感し理解してくれる社員も少しずつ増えているようです。
今後も、この内容が自然と社員達の心に浸透してくれたら、と願っています。

 

 

以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。