苦しかったときの話をしようか

読書でアウトプット

 

今回紹介する本の著者、森岡毅(Morioka Tsuyoshi)さんはマーケティングの専門家で、2010年に経営危機に陥っていたユニバーサルスタジオジャパンに入社、森岡メソッドと呼ばれるマーケティングノウハウでわずか数年で劇的に経営再建、V字回復を実現させたことで有名な方です。

 

本の概要

この本は、著者である森岡さんの娘さんに宛てて、森岡さんが合間時間などを使って書きためた内容をベースにして作られています。

娘さんが大学2年生のときに「何がしたいのかわからない」、「何をすればいいのかわからない」という状態になっていたのを森岡さんがみて、自分が教えてやれることがあるはず、という思いから書き綴られた、「キャリアの判断に困った時に役立つ虎の巻」です。

自分の持つ強みをどうやって知り、どのように磨き、生かしながらいきていくのか、どんな選択肢を自分で選ぶのかについて書かれたキャリアの指南書と言えます。

 

著者の本音がほぼそのまま表現されたことによる現実味

親である著者が子供に向けてプライベートなものとして書きためた原稿は、本来は出版を想定されたものではなかったようです。

 

キャリアに対しての考え方は十人十色なので、とにかく反感を買いやすい。だから、「私はこれを信じる!」と明確に書くにはそれなりの勇気がいるのだ。とりわけ本書の原稿は、森岡家でのドメスティックな使用を前提に書いた生々しい本音の集積だから、なおさらである。

「そもそも人間は平等ではない」など、そのまま世に出してしまって良いものか?

私は躊躇した。

 

結局、生々しいままで出版することになった(一人称、二人称の呼び名を修正したり、読みやすくなるように構成を編集した程度)ようで、ずっと書きためていたものがそのまま本になっています。

 

修正して取り繕った「よそ行き」のキャリア論にしてしまうと、伝わる力が弱くなると思ったからだ。学者でもなく、評論家でもなく、マーケターでもなく、私は父親としてそれらの原稿を書いた。

ビジネスの最前線で生きてきた実務家としての私ならではの視点を、子供の成功を願う父親の執念で書き出したのだ。

 

その生々しさこそが、本書のレアな特徴だと信じることにした。したがって、この本はきっと今まで以上に読者の好き嫌いが分かれるだろうと予想する。

本書独特のリアリティが、一人でも多くの読者にとって良い意味で刺さることを願っている。

 

この言葉の通り、私も本書を読んで、あまりの現実に圧倒されました。「え、ここまで言ってしまっていいのか?」そう感じる内容もたくさんありますが、そのほとんどが、私自身が仕事を通じて感じていることと一致し、紛れもない現実をありありと記されていました。

 

世界は不平等であり、残酷なもの。この社会は人を平等には扱わない。

著者はそう断言します。

それなのに、本書を読んで感じることは、「絶望」ではなくワクワクするような「希望」なのです。

本書の面白さは、目を背けたくなるような社会の現実を正面からしっかり見つめながらも、働くことを通じて自分の強みを磨いていくことで得られる希望にあります。全く悲観的にならないのです。

その理由は、どのように考え、どんなステップで実行していけばいいのかを超実践的に書いているからだと思われます。読んでいくと、道筋が見えてくるのです。だから、「よし、やってやるぞ!」という気持ちになるのです。

よく考えれば、本書は父親の視点で子供に向けて語るように書かれた本ですから、実の子供に絶望を感じさせようとする親はいません。そして、いい加減な内容でお茶を濁すようなこともしません。ひたすらにリアルを見て、そこに挑んでいくことの意味や具体的な方法が書かれています。

 

キーワードは、次の言葉にあるようです。

 

パースペクティブ:本人が認識できる世界。主観。

セルフ・アウェアネス(self awareness):自己認識の度合い。

 

パースペクティブについては、一旦は著者の経験から得た内容が示されていますが、それは普遍的なものではなく、時代とともに変わるものとしています。とはいえ、ビジネス社会の第一線で大きな成果を上げてきた著者のみる世界は、真に迫るものがあります。

当たり障りない内容などではなく、良いものも悪いものの、生き生きとした現実が書かれています。

 

自己認識については、多くのビジネス書でも言及されていますが、この本では非常に具体的にその手法が示されているので、この部分だけでも本書を読む価値は十二分にあると言えるでしょう。

 

キャリアとは何か

 

「残酷な世界」と向き合って、どうやって生きていくのか?

キャリアとは、その問いに対しての一人一人の答えであると、著者は言います。

人は生まれながらにして不平等であり、生きていく世界もまた、不平等な構造によって作られている、そんな中で何を希望とするのか?

 

最大の希望は、「それでも選べる」ということだ。どのような特徴を持って生まれてきたとしても、人生の目的も、それに向かう道筋も、自分の人生をコントロールする選択肢を握っているのは実は自分自身しかいない。

 

また著者は、キャリアのことを「自分をマーケティングする旅である」、とも言っています。

自分の強みをどのように見つけるのか、その強みをどうやって磨いていくのか、自分の強みをどうやってマーケティングしていくのか、どうやって信頼度を高めるのか。

きれいごとではない著者のストレートな内容は、これから社会に出て行こうとする若者にだけでなく、ある程度の社会での経験を持ち、さらにこれから先10年、20年の行き先を見定めようとする人にとっても、大いに学ぶところがあると感じます。

 

もっと高みへと歩んでいくために、自分で自分の道を正しくしていくために、本書はきっと一つの道を示してくれるはずです。

ぜひ、チェックして見てください。

 

 

以上です。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。